NTT法 【日本電信電話株式会社等に関する法律】 Act on Nippon Telegraph and Telephone Corporation

概要

NTT法(日本電信電話株式会社等に関する法律)とは、日本電信電話株式会社(NTT持株会社)およびNTT東日本(東日本電信電話会社)、NTT西日本(西日本電信電話株式会社)の特殊会社としての法的地位や事業内容、国の関与や規制などについて定めた法律。

NTT持株会社NTT地域会社は旧電電公社が独占的に敷設・運用してきた電話回線網などの資産を受け継ぐ事業者であるため、NTT法によって民営化後も業務内容や経営に関する事項について一定の制限や国による関与が規定されている。

具体的には、政府による株式の所有割合を1/3以上とする規定や、外国人による株式取得の制限(合計1/3以下)、持株会社による地域会社の完全所有、最低限の通信・通話サービスを全国一律に提供する義務(ユニバーサルサービス)、地域会社による都道府県をまたぐ県間通信の原則禁止(ただし届け出により許可される)などが定められている。

また、役員の異動や事業計画の策定、利益の処分、定款の変更、他事業者との一体的なサービス提供などについては総務省の認可が必要とされる。事業や財産の公共性・公益性から、職員の賄賂の授受を禁じる、いわゆる「みなし公務員」規定も存在する。

NTT法が適用されるのは持株会社と東西地域会社のみで、旧電電公社の事業を受け継ぐ主要子会社のうちNTTコミュニケーションズ(NTTコム)、NTTドコモNTTデータには適用されない。ただし、コムとドコモの通信事業については電気通信事業法など他の法律により一定の規制を受けている。

歴史

1984年に「日本電信電話株式会社法」として制定され、これに基づいて1985年に日本電信電話公社が廃止(日本電信電話公社法等の関係法令も廃止)、日本電信電話株式会社(旧NTT)が発足した。

この旧NTT時代には、1988年にデータ通信事業本部がNTTデータ(エヌ・ティ・ティ・データ通信株式会社)として、1992年に移動体通信事業部がNTTドコモ(エヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社)として分離・子会社化されている。

1997年に大幅な改定がわれ、名称も「日本電信電話株式会社等に関する法律」となった。1999年には改定法に基づく組織再編がわれ、グループ経営と研究所に専念する持株会社(新NTT)と、100%子会社の地域会社(NTT東日本NTT西日本)および長距離・国際通信会社(NTTコミュニケーションズ)に分割された。このうちNTTコミュニケーションズはNTT法による規制から外れた純粋民間企業となった。

2001年の改正では、地域会社がインターネット上のサービスなど新たに業務範囲を拡大することを「地域電気通信業務等の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがない」など一定の条件を満たせば総務省が認可できるよう改められた。また、総務省が指定した市場支配的な通信事業者の他社との接続の際には接続料金の算定根拠の公表を定め、特定の事業者の優遇や差別を禁止した。

2003年の改正では、全国均一の料金体系の元で通話サービスを実現する「ユニバーサルサービス」について、東西地域会社の経営体力に格差が生じつつあるため、経営環境の厳しいNTT西日本に対しNTT東日本から資金援助をうことができるよう改められた。

(2018.9.14更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
ホーム画面への追加方法
1.ブラウザの 共有ボタンのアイコン 共有ボタンをタップ
2.メニューの「ホーム画面に追加」をタップ
閉じる