読み方 : アイアールユー
IRU【Indefeasible Right of User】破棄し得ない使用権
概要
IRUとは、通信回線などの貸借契約の形態の一つで、設置者(所有者)と利用者の双方が合意しない限り、一方から契約を破棄できない永続的な利用権のこと。法的な所有権は移転しないが、利用者は契約期間中、対象設備を自社設備とほぼ同等の権限で排他的かつ安定して使用し続けることができる。

通常の賃貸借契約では、契約期間の満了や解約通知によって貸し手側から契約を終了させることができるが、IRUではそれが認められない。利用者には強い権利が保証されるため、数十年に及ぶ長期間にわたって安定した設備利用が可能となる。日本の電気通信事業法においても、電気通信事業者がIRUによって調達した回線を自社設備とみなし、自社の回線網に組み込んで事業を展開することが認められている。
光ファイバー回線の建設費は高額であるため、既存の設備をIRU契約で調達する手法が広く採用されている。自ら設備を建設する初期コストを抑えながら、安定した通信インフラを迅速に確保できることから、通信事業者が広域ネットワークを構築する際の有効な手段となっている。
代表的な活用例として、鉄道会社や高速道路事業者が設備保守のために敷設した光ファイバー網のうち、使用されていない余剰の回線容量(ダークファイバー)を通信会社が調達し、拠点間の基幹回線として利用するケースがある。自前で掘削や架線工事を行う必要がないため、インフラ資産の有効活用と通信網の早期拡張を同時に実現できる。
また、人口が少なく通信会社によるインフラ整備が進みにくい過疎地域では、地方自治体が公的資金で光ファイバーなどの回線設備を整備し、通信事業者にIRU契約で提供する取り組みも行われている。事業者は投資リスクを低減して地方へ進出でき、地域住民は高速通信サービスを利用できるようになる。こうした官民の連携による活用は、地方のラストワンマイル整備を促進する手段の一つとなっている。
(2026.6.11更新)