T1 【Transmission System 1】 DS1 / Digital Signal level 1
概要
T1(Transmission System 1)とは、広域回線のデジタル通信方式の標準規格の一つで、約1.5Mbpsの速度で通信可能なもの。通信事業者の広域通信網を利用したデジタル専用線サービスなどで用いられる。64kbpsのデジタル回線(DS0とも呼ばれる)を24本束ねて多重化し、8kbpsの制御用信号を加えて1.544Mbps(実効1.536Mbps、チャネル数24)の通信容量を持つ。企業などの拠点間通信やインターネットへの常時接続、通信事業者間の相互接続などでよく用いられた。
インターネット普及の初期に基幹回線網によく使われていたため、大容量の専用回線の代名詞的に用いられることも多かった。米国国家規格協会(ANSI)が策定した標準規格で、主に日本や北米の通信サービスで普及したが、ヨーロッパなどでは64kbpsの回線を30本束ねて2.048Mbpsとした「E1」規格が普及した。
T1C (DS1C)
2本のT1回線を束ねた約3Mbpsのデジタル専用回線の規格をT1Cという。64kbpsの回線を48本多重化したもので、制御信号を合わせて3.152Mbpsの通信容量を持つ。日本では通信事業者間の相互接続などに用いられ、一般的なサービス品目などとしては取り扱われていない。
T2 (DS2)
T1回線を4本(正確にはT1C回線を2本)束ねた約6Mbpsのデジタル専用回線の規格を「T2」という。64kbpsの回線を96本多重化したもので、全体で6.312Mbps(実効6.144Mbps)の通信容量を持つ。企業の拠点間通信などでの利用を想定した規格の一つだが、実際にはT1回線と、T2をさらに多重化したT3回線が広く普及したためあまり利用されなかった。
T1同様日本や北米で普及した規格で、ヨーロッパなどではこれにほぼ相当する規格としてE1(2.048Mbps/30チャネル)を4本多重化した「E2」(8.448Mbps/120チャネル)が利用された。
T3 (DS3)
T1回線を28本(正確にはT2回線を7本)束ねた約45Mbpsのデジタル専用回線の規格を「T3」という。64kbpsの回線を672本多重化したもので、全体で44.746Mbps(実効43.008Mbps)の通信容量を持つ。大企業の拠点間通信やインターネット接続、通信事業者間の相互接続などでよく用いられた。
T1同様日本や北米で普及した規格で、ヨーロッパなどではこれにほぼ相当する規格としてE1(2.048Mbps/30チャネル)を16本多重化した「E3」(34.368Mbps/480チャネル)が利用された。
T4 (DS4)
T1回線を168本(正確にはT3回線を6本)束ねた約275Mbpsのデジタル専用回線の規格を「T4」という。64kbpsの回線を4032本多重化したもので、全体で274.176Mbps(実効258.048Mbps)の通信容量を持つ。大手通信事業者間の相互接続や通信拠点間のバックボーン回線などとして用いられ、加入者向け通信サービスではほとんど提供されていない。
T1同様日本や北米で普及した規格で、ヨーロッパなどではこれにほぼ相当する規格としてE1(2.048Mbps/30チャネル)を64本多重化した「E4」(139.264Mbps/1920チャネル)が利用された。