ASPサービス 【ASP service】
概要
ASPサービス(ASP service)とは、インターネットを通じて遠隔からソフトウェアを利用させるサービス。そのようなサービスの提供者のことを「ASP」(Application Service Provider:アプリケーションサービスプロバイダ)という。従来、コンピュータでソフトウェアを利用するには、ソフトウェア自体を入手してコンピュータ上のオペレーティングシステム(OS)に導入する必要があった。ASPサービスでは、利用者にインターネットなどのネットワークを通じて操作画面を配信し、遠隔からソフトウェアの機能を利用させる。
利用者は専用のクライアントソフトやWebブラウザなどを手元のコンピュータに導入し、これを通じてASP事業者の提供するソフトウェアを表示・操作する。操作画面を除くソフトウェアの大部分および操作対象のデータは事業者が運用するサーバコンピュータに格納されている。
種類
ASPサービスとして提供されるソフトウェアは企業などが業務で利用するためのものが多く、ネットワークの利用を前提としていることから当初は複数人や複数台のコンピュータでの情報共有、情報の送受信を行うものが中心だった。電子掲示板(BBS)や電子会議、チャット、スケジュール管理、プロジェクト管理、営業支援、顧客管理などである。
近年では、文書編集ソフトや表計算ソフト、データベースソフト、プレゼンテーションソフトなどのいわゆるオフィスソフトや、画像編集ソフト、図形編集ソフトなど、以前から利用者がコンピュータに導入して利用してきた種類のソフトウェアもASPサービス化されるようになってきている。
また、オンラインストレージサービスのように、コンピュータやOSの機能の一部を肩代わりしたり拡張したりするASPサービスもある。個別のアプリケーション単位ではなくOSの操作画面(デスクトップ)自体を遠隔から配信する「DaaS」(Desktop as a Service)というサービスも提供されている。
特徴
利用条件にもよるが、コンピュータに固定的に記録されたソフトウェアと異なり、インターネットに接続された環境が用意できれば様々な場所やコンピュータから同じソフトウェアやデータを呼び出して利用できるという利点がある。組織的に利用する場合は端末一台ごとに個別に導入や更新などの作業を行う必要がないのも大きなメリットである。
ただし、コンピュータで直接実行されるソフトウェアに比べ機能や性能には制約があるため向いていない分野があるほか、通信環境によっては快適に利用できない場合もある。また、ASP側のシステム障害や不手際などでソフトウェアが利用できなくなったり、保管していたデータが消失・漏洩するリスクも考慮しなければならない。