疑似相関【見せかけの相関】spurious relationship/擬似相関
概要

相関関係とは、一方の数値が増えるともう一方も増える(あるいは減る)という統計的な連動性のことである。この連動が観測されると、二つの事象に因果関係があると受け取られがちだが、相関の存在はそのまま因果を意味しない。
例えば、アイスクリームの売上と水難事故の件数は夏に同時に増えるが、両者の間に直接的な何らかの繋がりがあるわけではなく、「気温の上昇」という共通の要因がどちらにも影響しているに過ぎない。こうした第三の要因を「交絡因子」(潜伏変数)と呼ぶ。
疑似相関は交絡因子以外によっても生じることがある。長期的に増加傾向を持つ二つのデータを比較した場合や、多数の変数を同時に調べた際の偶然の一致によっても、実態のない相関が現れることがある。「チョコレートの消費量が多い国ほどノーベル賞受賞者が多い」といった、直感的に意味をなさない相関(単に欧米先進国はどちらも多い)がデータ上に現れるのはその一例である。
疑似相関を見抜くには、データの背景にある条件や第三の要因の有無を丁寧に検討する必要がある。統計分析では、交絡因子を説明変数として加えた回帰分析や、時系列データの傾向を除去する処理などが用いられる。また、再現実験が可能な分野や対象では、実験的に条件を統制して因果関係の有無を確かめる場合もある。
疑似相関はニュースや広告などを通して日常的にも頻繁に遭遇する。「○○をした人は健康だった」というデータがあっても、その人たちがもともと健康への関心が高く、食事や運動にも気を配っていたとすれば、○○の効果なのかそれ以外の習慣の効果なのかは簡単には切り分けられない。見かけ上の相関を因果と混同すると、誤った施策や判断につながる危険がある。データの数値がどれほど明確な連動を示していても、その背後に何があるかを問わずに結論を急ぐことは避けなければならない。