第1種の誤り 【type I error】 第一種過誤
概要
第1種の誤り(type I error)とは、統計的な検定を行う際に、帰無仮説が真であるのに棄却してしまう過誤のこと。主張が実際には成立していなかったのに、誤って「成立している」と結論付けてしまう過ち。分野によっては「偽陽性」とも呼ばれる。何らかの主張を統計的な手法で立証したいとき、「その主張は成立していない」という仮説(帰無仮説)を立て、主張の内容はその逆である対立仮説とする。調査や測定、統計量の計算などで帰無仮説が棄却されれば、本来の主張である対立仮説の成立を証明することができる。
このとき、実際には帰無仮説が正しい(主張は成立していなかった)のに、誤って帰無仮説を棄却してしまう過誤を第1種の誤りという。例えば、「新薬に効果がある」という主張のために「新薬には効果がない」という帰無仮説を統計的な検定にかけ、実際には効果がないのに誤って「効果があった」という結論を導いてしまう状況である。
一方、実際には対立仮説が正しい(主張は成立している)のに、誤って帰無仮説を採択してしまう過誤を「第2種の誤り」(第二種過誤)という。先の例では、新薬には実際には効果があったのに、「新薬に効果がない」という帰無仮説が検定を通ってしまい、誤って「効果がない」と結論付けてしまう状況である。
(2024.5.22更新)