クラッキング 【cracking】 クラック / crack
概要
クラッキング(cracking)とは、コンピュータやソフトウェア、データなどを防護するための措置や仕組みを破壊あるいは回避、無効化し、本来許されていない操作などを行うこと。“crack” には割る、押し入る、突破するといった意味があり、ドアを破って部屋に押し入ったり、鍵を破って金庫の中のものを盗んだりすることを指す。ITの分野でも同じように、著作物を記録したデータの複製を制限する措置を解除して不正コピーしたり、コンピュータを利用するためのパスワードを割り出して不正に操作権限を取得したりといった行為をクラッキングという。
コンピュータシステムへの攻撃や侵入は一般的には「ハッキング」(hacking)と呼ばれることが多いが、この言葉は元来、コンピュータの動作を解析したりソフトウェアの拡張や改造などを行うことを指し、必ずしも悪い意味ではなかった。
そのような技術や手法を悪用して不正や犯罪を働くことをクラッキングと呼び、ハッキング全般とは区別すべきだとする主張もあり、技術者コミュニティなどではそのような呼び分けが一定程度行われているが、マスメディアなど世間一般には浸透していない。
システムのクラッキング
コンピュータシステムの攻撃としてのクラッキングは意味が広く、システムの利用権限の奪取(侵入)や乗っ取り、秘密のデータの盗み取りや漏洩・公表、システムに保存されたデータやプログラムなどの改竄や破壊などを含む。
パスワードなどを不正に入手したりソフトウェアの脆弱性を攻撃して誤作動させるなどして、本来は許可されていない動作や操作を行う攻撃手法の総称であり、侵入行為を伴わないDoS攻撃などは含まれない。
ソフトウェアのクラッキング
商用ソフトウェアなどデータとして販売される著作物に施された複製の制限や利用者の確認・認証などを無力化し、不正にコピーしたり、これらの防護措置が機能しないよう改造したりすることをクラッキングという。
映像ソフトなどには内容を暗号化して複製を制限しているものがあり、ソフトウェア製品にはパッケージのシリアル番号の入力や利用者のオンライン登録、プロダクトアクティベーション、プロテクトドングルなどで購入者であることを確認してから導入や起動を行う仕組みになっているものがある。
クラッキングはこれらを無効化することを指し、暗号化が解除された状態のデータの複製を作成したり、ソフトウェア内のチェック機構を探し出して除去するなどして、無制限にコピーや使用ができるよう不正に改造することなどが含まれる。
関連用語
他の辞典による解説 (外部サイト)
試験出題履歴
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成28年度大会(鹿児島)第3巻 空調システム編「次世代空調システム実現に向けた「8つのトライ」-情報通信技術の空調設備運用への導入事例-
」(PDFファイル)にて引用 (2016年9月)