QEMU
コンピュータのCPU(MPU/マイクロプロセッサ)や各種の制御回路の動作をソフトウェアによって再現し、実際のオペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフトを導入して動作させることができる。Windows上のQEMU環境でLinuxを起動するなど、QEMUが実行されているOSとQEMU上で実行するOSは異なっていてもよい。
あるコンピュータで動作するソフトウェアの開発に別の機種を用いるような場合(クロス開発)に、開発環境内にターゲット機種のハードウェア環境を再現し、実機試験の前に動作確認することができる。これは例えばパソコンでスマートフォン向けのアプリを開発する際などに有用で、Androidスマートフォン向けの開発環境であるAndroid SDKにもQEMUが採用された。
動作モードとして、コンピュータ全体を再現するシステムエミュレーションのほか、Linuxのユーザーランドを再現するユーザーモードエミュレーション、KVMの基盤として動作するKVMホスティング、Xenの基盤として動作するXenホスティングが用意されている。
対応するCPUの種類はパソコンやサーバでよく用いられる米インテル(Intel)社のx86系やx86-64(x64)系のほか、PowerPC系、MIPS64系、SPARC系、ARM系、RISC-V系といった著名なRISC系プロセッサが含まれる。
QEMUはフランスの著名なソフトウェア開発者、ファブリス・ベラール(Fabrice Bellard)氏が開発を創始したもので、GPL(GNU General Public License)に基づいてオープンソースソフトウェアとして公開されている。
(2021.7.11更新)