Xen
仮想マシンモニタ(VMM:Virtual Machine Monitor)と呼ばれるソフトウェアの一つで、コンピュータのハードウェア資源を一括して管理し、OSに対してはその一部を組み合わせた仮想マシン(VM:Virtual Machine)と呼ばれる仮想的なコンピュータとして振舞う。
通常は「準仮想化」と呼ばれる動作モードで実行され、実際のコンピュータとは異なる仮想環境を用意し、その上でOSを実行する。高速に動作するが、OSを仮想環境向けに移植する必要がある。LinuxやFreeBSDなどUNIX系OSの多くがXen仮想マシンに対応している。
米インテル(Intel)社のマイクロプロセッサ製品が持つ「VT」や米AMD社の「AMD-V」などの仮想化支援機能が利用できる環境では、「完全仮想化」モードで動作させることもできる。これは元のハードウェア環境で動作するOSはすべて動作させることができるが、実行速度は準仮想化に劣る。
米マイクロソフト(Microsoft)社の仮想化ソフト、Hyper-VはXenと基盤部分を共有しており、動作の仕組みや対応環境はほとんど同じになっている。一方で稼働している仮想マシンをもう一方が動作する環境に移転することもできる。
2002年に英ケンブリッジ大学コンピュータ研究所のイアン・プラット(Ian Pratt)氏らが開発を始めたもので、その後オープンソースソフトとして公開された。同氏らの立ち上げたゼンソース(XenSource)社が製品版の開発・販売などを行っていたが、2007年に同社は仮想化ソフトウェア大手の米シトリックスシステムズ(Citrix Systems)社に買収された。
(2020.1.23更新)