シックプロビジョニング【thick provisioning】

仮想化環境では、複数のストレージ装置を束ねてまとめたストレージプールから仮想ディスクを切り出す形で、VMにストレージを割り当てる。シックプロビジョニングでは、この割り当て時に指定容量の物理領域がそのまま確保される。
確保された領域は最初から空き領域として使用可能な状態になり、ファイルシステムを作成すれば自由に読み書きできる。実際の使用量にかかわらず指定容量が常に物理的に占有されるため、使い始めの段階では大半が空き領域のまま他の用途に転用できない状態になる。ストレージプール全体の利用効率という観点では不利な方式である。
一方、割り当て時には最小限の物理領域しか確保せず、データの書き込みが進むにつれて動的に領域を追加していく方式を「シンプロビジョニング」(thin provisioning)という。こちらはストレージの利用効率が高い反面、実際の書き込み量がストレージプールの物理容量を超えると障害につながるリスクがあり、物理容量の継続的な監視と適切な運用管理が欠かせない。
シックプロビジョニングは、割り当て時に物理容量が確定するため容量不足による予期せぬ障害が起きにくく、データの書き込みに伴って新たな領域を追加確保する処理も発生しないためI/Oパフォーマンスが安定しやすい。データベースや基幹システムなど、処理遅延が許されず安定した性能や容量の確実な確保が求められる用途で選択されることが多い。
VMware vSphereなど主要な仮想化基盤では、領域確保のみを先に行いデータ書き込み時に初期化する方式(Lazy-Zeroed)と、作成時に領域全体をゼロで埋めて完全に初期化する方式(Eager-Zeroed)の2種類が提供されている。前者は仮想ディスクの作成時間が短く、後者は作成に時間がかかるものの、運用時の安定性や最高性能が求められる場面に適している。