オーバースペック
概要
オーバースペックとは、用意された機器やシステムなどの性能や機能が、目的や用途に照らして過剰であること。本来の能力を発揮できずコストが無駄になる。庭に穴を掘るだけなのにパワーショベルを手配するような、目的に対して過剰な能力を持つ道具を用意することをこのように呼ぶ。IT分野では、コンピュータや情報機器の性能や機能、容量などが用途や目的の処理に対して過剰であることを指す場合が多い。
高い性能や機能の製品などを用意するには高額な費用がかかるが、目的を遂行するのに必要な能力はごく一部であるため、費用の大半は無駄になってしまう。機能が豊富な分だけ使い方が難しかったり、熟練者向けで操作に習熟を要するなど、簡易な手段よりもかえって目的の遂行が困難になってしまうこともある。
「スペック」は俗に人間の能力や素質、肩書、経歴など(の優秀さ)を指すこともあり、人材の募集に対して想定よりも大幅に優秀な人物が応募してきた場合などに、これを過剰性能な機器に例えて(半ば冗談めかして)オーバースペックと表現することがある。
「オーバースペック」は “over” (超える)に “specification” (仕様、諸元)を組み合わせた造語だが、「スペック」を能力や性能の意味で用いるのは和製英語であり、オーバースペックもそこから派生した和製英語である。英語では “overcapacity” や “overperformance” などが近い意味になる。“overspecification” という語もあるにはあるが「過剰に細かく仕様を規定すること」「冗長な説明を付け加えること」といった異なる意味に解釈される恐れがある。
(2021.11.30更新)