ロングテール 【long tail】

概要

ロングテール(long tail)とは、インターネット上での現象は生起頻度の低い要素の合計が全体に対して無視できない割合を占めるという法則。縦軸を頻度として横軸に頻度の高い順に項目を並べたグラフを描くと、右側に低頻度の項目が大量に並び、長く伸びた動物の尻尾のように見えることからこのように呼ばれる。

経済現象や社会現象では、上位の少数の要素が全体の数量の大半を占める法則や経験則が様々な分野や対象で見られ、「冪乗則」(べき乗則)「パレートの法則」「80:20の法則」(売上の80%は上位20%の顧客/商品がもたらす)などの形で古くから知られていた。

このような傾向自体はインターネット上での経済活動でも見られるが、現実の店舗などが売り場面積や人員などの物理的な制約から、ある程度上位の「売れ筋」に集中せざるを得ない一方、オンラインショップなどでは制約が小さいため、従来は「死に筋」と見られていた下位の商品も低コストで取り扱うことができ、合算すると大きな収益を産む場合がある。

米ワイアード(WIRED)誌の編集長だったクリス・アンダーソン(Chris Anderson)氏は2004年10月に発表した記事 “The Long Tail” の中で、このような従来の現実世界の経験則が通用しないインターネット特有の構成比率が見られる事例を紹介し、グラフに描画した際の右下に長く伸びる低頻度の領域を恐竜の長い尻尾になぞらえて「ロングテール」(long tail)と呼んだ。

この傾向はECサイトの売上構成比だけでなく、ネット上の様々な経済・社会現象で観察される。例えば、Webサイトを構成する各ページの閲覧回数、検索エンジンにおける各検索語の検索頻度などである。また、個別の事業やサービスなどの中だけでなく、市場全体にもこのような傾向が見られ、ある市場のロングテール部分に特化した事業を展開するビジネスなども興隆している。

(2023.2.1更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
ホーム画面への追加方法
1.ブラウザの 共有ボタンのアイコン 共有ボタンをタップ
2.メニューの「ホーム画面に追加」をタップ
閉じる