アカウントアグリゲーション 【account aggregation】
概要
アカウントアグリゲーション(account aggregation)とは、利用者が所有する複数の金融機関の口座(アカウント)情報を取得し、まとめて処理・表示できるようにする仕組み。資産運用や家計簿などのアプリやネットサービスで用いられる。アカウントアグリゲーションに対応したシステムは利用者が預金口座などを持つ金融機関のインターネットバンキングサービスなどを利用して預金残高や入出金明細などの情報を取得し、全体を集約・通算して一つの画面で一覧できるようにする。
初期に用いられた手法は「スクレイピング」を応用した方式で、利用者からIDとパスワードを預かり、利用者に成り代わってネットバンキングサービスにログインして画面を操作し、表示画面のWebページの内容を解析して必要な情報を抽出する。
この方式は人間向けのネットサービスを提供している金融機関であればアグリゲーション事業者による対応のみで利用できる汎用性の高さがあるが、利用者が金融機関のログイン情報という重要な情報を事業者に預ける形となるためセキュリティ上のリスクが高い。
近年スクレイピングに代わって徐々に普及しているのは「API連携」(オープンAPI)を応用した方式である。金融機関側は外部からアクセス可能なプログラム向けの窓口(API:Application Programming Interface)を用意し、利用者の認証と承認を経てプログラム上のやり取りで情報を取得する。金融機関側の対応が必要だが安全性が高い。
アカウントアグリゲーションは以前から資産管理アプリなどで用いられてきたが、2018年からは銀行法などの改正により「電子決済等代行業者」として金融庁への登録が必要となった。金融庁ではAPI連携によるアカウントアグリゲーションが望ましいとして全国の金融機関にAPI問い合わせを受け付ける環境を整備するよう要請している。
(2023.10.10更新)