フリーミアム 【freemium】

概要

フリーミアム(freemium)とは、ソフトウェアやコンテンツ、ネットサービスなどの提供方式の一つで、基本的な機能や内容を無償提供し、高度な機能や充実した内容を有償で販売する手法。

従来、完全に有料の製品やサービスは敷居が高くなかなか顧客が増えず、一方で広告収益モデルなど完全無料の方式では製品やサービスの提供を維持するだけの十分な収入がなかなか得られないというジレンマがあった。

フリーミアムはこれを改善する課金モデルで、基本的な内容を無料で提供して利用者を惹きつけ、気に入ってくれた利用者にオプションとして高度な内容や便利な機能を販売する。「フリーミアム」の語は「フリー」(free)と「プレミアム」(premium)を組み合わせた造語である。

従来からソフトウェアの販売でよく用いられる、体験版や試用版、開発途上版を無償で配布して気に入った利用者に正規版を販売する手法に近いが、フリーミアムの場合は無償版でも一通りの完結した機能を期限を定めず提供する点が異なる。

オンラインサービスやソフトウェア、コンテンツのようにインターネットを通じて非常に低いコストで複製や配布、提供を行うことができる製品やサービスで可能な施策であり、生産や輸送のコストが重い物理的な実体を持つ製品や対面で提供するサービスなどでは実施しにくい。

F2P (Free-to-Play/基本プレイ無料/フリートゥプレイ)

オンラインゲームやオンライン販売ゲームなどの販売・課金モデルの一つで、ゲームソフトの入手やプレイ開始は無料で可能にしておき、追加要素やプレイの継続に課金する方式のこと。ビデオゲームにおけるフリーミアム方式。

F2Pで提供されるゲームは、ソフトウェアのダウンロードや利用登録、プレイ開始には課金せず、基本的な内容は無料で遊ぶことができる。その代わり、ゲーム内通貨や特殊なゲーム内アイテムの入手に課金したり、無料状態では使えない便利な機能を有料で提供したり、一定のお試し期間の終了後、継続プレイする場合に課金したりといった方法で希望者から代金を徴収する。

スマートフォン向けゲームでは、広告など課金以外の方法で収益を得る完全無料のゲームが増え、購入しなければ開始できないタイトルは競争上不利な状況が強まっているため、F2Pモデルを導入する販売元・運営元が増えている。

ゲームを実際に試してみて気に入れば課金して本格的に遊べばよいという点は消費者にとっても利点だが、一方で、課金のタイミングや額が分かりにくく不本意に課金されたり、子どもが課金されていることを認識できずに親の知らない間に大きな額を使ってしまったりといったトラブルも増えている。

(2019.8.16更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

試験出題履歴

ITパスポート試験 : 令5 問21
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。