読み方 : きょうちょうフィルタリング
協調フィルタリング 【collaborative filtering】
概要
協調フィルタリング(collaborative filtering)とは、ネットサービスなどで提供する情報を利用者ごとに自動的に最適化する手法の一つで、過去の行動記録などから嗜好などが似ている別の利用者を探し、その人(達)が求めた情報を提示する方式。解説 例えば、オンラインショップでは個々の利用者の過去の購入履歴や商品ページの閲覧履歴などを記録しているが、ある利用者Aと似た履歴を持つ利用者Bを見つけ、Bが購入した商品の中からAが未購入の商品を「おすすめ」として表示する。リコメンデーションやパーソナライズなどの機能を実装するための有力な手法として広く普及している。
利用者間の類似度の判定には相関分析などの統計的な手法が用いられる。類似する利用者は一人に限られず、ある程度以上似ている利用者グループの履歴を分析し、多くが共通して関心を示しているものを「より適している」と判定するなどの工夫が行われることもある。
一方、利用者が閲覧した内容と似た属性を持つ別の内容を推薦する方式は「コンテンツベースフィルタリング」(content-based filtering)という。協調フィルタリングは利用者ごとの履歴のみを利用し、提供内容自体の情報は用いないため、内容を選ばず適用でき、汎用的なシステムやプログラムで実装できる利点がある。
ただし、利用者が少ないサービス開始直後や、利用者がまだ何の行動も起こしていない加入直後には履歴情報が足りずにうまく機能しない「コールドスタート問題」という難点もある。実際のネットサービスでは、推薦の精度や多様性を向上させるため、一定のルールに基づいて協調フィルタリングとコンテンツベースフィルタリングを併用することも多い。
(2025.10.2更新)