IPsec VPN【IPsec Virtual Private Network】
概要

インターネットの通信規格であるIP(Internet Protocol)を拡張した暗号化通信の規格「IPsec」を用いるVPNである。各拠点のネットワーク境界にIPsecゲートウェイを設置し、拠点間を行き来するIPデータグラムを暗号化してカプセル化した上で送受信する。
ネットワーク層(IP)で動作するため、TCP/UDPより上位のアプリケーションやソフトウェアは特別な対応を必要とせず、Web閲覧やメール送受信、ファイル共有など様々な目的の通信をそのまま保護できる。これはアプリケーションごとに暗号化された伝送路を形成するSSL-VPNなどにはない特性である。
IPsecが利用するプロトコルとしては、暗号化機能を持つ「ESP」(Encapsulating Security Payload)が実用上ほぼ標準となっており、鍵交換には「IKEv2」(Internet Key Exchange)が用いられる。暗号化機能を持たない「L2TP」(Layer 2 Tunneling Protocol)と組み合わせ、「L2TP/IPsec」として使われることが多い。
かつては、経路途中にNAT(アドレス変換)やNAPT(ポート変換)を行う機器があるとIPsecパケットが正常に通過できなかった。家庭用ブロードバンドルータの多くはIPアドレスとポート番号を両方変換するNAPTが基本であるためリモートアクセス用途では接続できないケースが生じ、主に固定グローバルIPアドレスを持つ拠点間接続を中心に普及した。
現在ではIPsecパケットをUDPで再カプセル化することでNAT環境を通過できるようにするNATトラバーサル(NAT-T)が標準化され、普及している。これにより、リモートワーク環境など様々なネットワーク構成からのアクセスが可能となり、IPsec対応のVPNクライアントがWindows、macOS、iOS、Androidに標準搭載されるようになっている。
関連用語
他の辞典等による「IPsec VPN」の解説 (外部サイト)
本ページを参照・引用している文書・論文など (外部サイト)
- 国立長寿医療研究センター「認知症の医療介護連携、情報共有ツールの開発に関する調査研究事業 報告書
」(PDFファイル)にて引用 (2016年3月)