QUIC 【Quick UDP Internet Connections】
概要
QUIC(Quick UDP Internet Connections)とは、インターネットなどのIPネットワーク上で利用される通信規約(プロトコル)の一つで、高速性と安全性の両立を目指したもの。プロトコル階層ではネットワーク層(IP:Internet Protocol)と、Webや電子メールなど各種用途ごとのプロトコルが定義されたアプリケーション層の中間にあたるトランスポート層のプロトコルの一つである。
トランスポート層では従来、高速だが信頼性の低いUDP(User Datagram Protocol)、信頼性が高いが接続確立時の遅延などが大きいTCP(Transmission Control Protocol)のいずれかが用いられ、Webなどの用途ではTCPに重ねて暗号化のためにSSL/TLSが利用されてきた。
QUICではUDPをベースに高速伝送を実現する一方、TCPの輻輳制御や再送制御の要素を取り込んで信頼性を高め、TLS相当の暗号化メカニズムを組み込み安全性も担保している。主にWeb通信の高速化を主眼に開発され、現在Web上で主流となっているTCP+TLSの組み合わせを置き換え、HTTPと合わせて高速で安全な通信を実現することを目指している。QUICを通じたHTTP接続の仕様(HTTP over QUIC)は「HTTP/3」として整理されている。
初期の仕様は2012年に米グーグル(Google)社が開発し、すでに同社サービスを提供するサーバと同社製のクライアント側のソフトウェア(WebブラウザのGoogle Chromeなど)との間で実用に供されている。同社製以外の主要なWebサーバやWebブラウザにも実装が広がっており、2021年には仕様がIETFによってRFC 8999~9002として標準化された。
(2021.10.11更新)
関連用語
関連リンク (外部サイト)
- RFC 8999 - Version-Independent Properties of QUIC - IETFによる規格書(バージョン間で共通の仕様)
- RFC 9000 - QUIC: A UDP-Based Multiplexed and Secure Transport - IETFによる規格書(QUIC仕様本体)
- RFC 9001 - Using TLS to Secure QUIC - IETFによる規格書(QUIC内でのTLS利用)
- RFC 9002 - QUIC Loss Detection and Congestion Control - IETFによる規格書(損失検知と輻輳制御)