IPフラグメンテーション 【IP fragmentation】
概要
IPフラグメンテーション(IP fragmentation)とは、ネットワーク上の様々な機器・回線をIPデータグラムが通過する際、サイズが大きすぎて一度に運べない場合に自動的に分割する仕組み。IPv4で用いられる。IP(Internet Procotol)では、送りたいデータの先頭に制御用の情報(ヘッダ)を付加した「IPデータグラム」という単位でデータを送受信する。IPの仕様自体では、一度に送信できるデータグラムの大きさは65535バイトまでと規定されている。
一方、IPデータグラムを伝送する下位の通信規格であるイーサネット(Ethernet)やWi-Fiでは、1500バイトなどより短い制約が課されることが多く、機器の種類や設定などによっても異なる。ある機器と隣の機器を結ぶ回線が一度に伝送できるデータ量を「MTU」(Maximum Transmission Unit)という。
インターネットなど様々なネットワークが混在しているネットワークでは、送出されたデータグラムが大きすぎて途中の回線のMTUを超えてしまう場合がある。そのような場合にルータなどの機器が小さなサイズのデータグラムに分割してそれぞれ転送する処理をIPフラグメンテーションという。
受信側では受け取ったデータグラムを組み立てて一つに再構築する。IPv6では経路途上でのフラグメンテーションは廃止され、代わりに送信前に相手方までの経路に含まれる各回線のMTUの最小値(経路MTU)を調査し、これに合わせてIPデータグラムのサイズを決定するという仕組みが用いられる。
(2024.9.6更新)