DFビット 【Don't Fragment bit】
概要
DFビット(Don't Fragment bit)とは、IPデータグラムのヘッダ部分の格納されている制御情報の一つで、経路途上でのデータグラムの分割(フラグメンテーション)を許可するか否かを記したもの。IPv4で用いられる。IP(Internet Protocol)は様々なネットワークを結びつけるのに用いられるため、IPデータグラムのサイズが経路上の回線が運べる最大フレームサイズを超過することがある。その場合は中継機器によってデータグラムが分割(IPフラグメンテーション)され、受信側で元の状態に組み立てられる。
IPv4のデータグラムの先頭部分で制御情報を記録するヘッダには3ビットの「フラグ」(flag)領域が用意されており、2ビット目がDFビット(Don't Fragment bit)となっている。このビットが「1」に設定されたデータグラムは経路上での分割が禁止され、フレームサイズを超過して伝送できない場合は破棄される。
DFビットは通常のデータ送受信ではオフ(0)にすることが多いが、ある伝送経路において一度に運べる最大データ量(MTU)を計測する経路MTU探索(Path MTU Discovery)などで必要となる。なお、3ビット目は分割が行われた最に後続のフラグメントが存在することを示す「MFビット」(More Fragment bit)となっている(1ビット目は未使用)。
IPv6では経路上の中継機器がIPデータグラムを分割する仕様は廃止されたため、IPv6ヘッダにもDFビットに相当する項目は存在しない。代わりに送信側がフラグメンテーションを行うことになっており、受信側にこれを伝達するためのヘッダ仕様が追加されている。
(2023.10.27更新)