スライディングウィンドウ 【sliding window】

概要

スライディングウィンドウ(sliding window)とは、ウィンドウ制御の方式の一つで、ウィンドウとして設定されたデータの範囲を少しずつずらしながら連続的にデータを送信する方式。

ウィンドウ制御は一対の機器間でデータの流れを制御するフロー制御の手法の一つで、メモリ上に「ウィンドウ」(window)と呼ばれるバッファ領域を確保して、大きな単位でまとめてデータを転送する。TCPTransmission Control Protocol)などで採用されている。

スライディングウィンドウ方式では、受信側は連続して受信可能なウィンドウ容量をあらかじめ送信側に伝達しておく。送信側では送信待機中のデータの先頭からこの容量までの範囲を、受信確認(肯定応答ACK)を待たずに送信可能な範囲として設定し、次々にデータを送出する。

受信側は受け取ったデータについて順次受信確認を返信していくが、送信側では到着が確認できた容量の分だけウィンドウを後ろへずらし、ウィンドウの範囲内にある未送信のデータを連続的に次々に送出する。

通常のウィンドウ制御ではウィンドウ全体を送り出してから受信確認を待って隣の領域にウィンドウを移動させるが、スライディングウィンドウは送受信しながらウィンドウの範囲を連続的にずらしていくため、信頼性を損なわずに伝送効率を高めることができる。

(2024.6.25更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。