DiffServ 【Differentiated Services】
概要
DiffServ(Differentiated Services)とは、インターネットなどのIP(Internet Protocol)ネットワークで、通信品質(QoS:Quality of Service)の指定を行うための仕組みの一つ。通信を種類に応じていくつかの「クラス」に分類し、クラスごとに優先順位の決定や帯域の確保を行う。IPデータグラムの制御情報が記載された先頭部分(IPヘッダ)には「TOS」(Type Of Service)と呼ばれる8ビットの領域があり、このうちの先頭6ビットをDSCP(DiffServe Code Point)としてクラスの分類に使用する。
各クラスにはルータなどの振る舞いを定めたPHB(Per-Hop Behavior)が決められており、これに基づいてデータ転送を行う。最優先のクラスは「EF」(Expedited Forwarding)でDSCPの値は46(101110)である。続いて、12段階の「AF」(Assured Forwarding)が設定されており、4段階の優先度と3段階の破棄レベルの組み合わせで処理が決定される。
DSCPが0に設定されたクラスは「Default」で、何のQoS確保もせずベストエフォート型で空いた帯域を利用して伝送される。特にQoSについての指定がない場合に使用される。後半3ビットが「000」の8種類の値は、DSCP以前に用いられていたIP優先度(IP precedences)に基づいて設定された「CS」(Class Selector)で、古い機種との互換性のために予約されている。
DiffServの適用では、ネットワークの入り口にあるルータがIPデータグラムの制御情報(送信元や宛先、UDPかTCPか、ポート番号はいくつかなど)を調べてクラスに分類し、DSCP値をヘッダに書き込む「マーキング」を行う。経路上のルータなどは、このDSCP値に対応したPHBに基づいてキューイングとスケジューリングを行う。
(2021.10.31更新)