AppleTalk
概要
AppleTalkとは、かつて米アップル(Apple)社のパソコン製品「Macintosh」シリーズやオペレーティングシステム(OS)製品「Mac OS」シリーズでネットワーク機能を実現するために用いられたプロトコル(通信規約)の体系。AppleTalkは主に構内ネットワーク(LAN:Local Area Network)における各種のネットワーク機能のために用いられ、複数のコンピュータ間でのファイル共有や、ネットワークに接続したプリンタによるリモート印刷などを利用することができた。
主に1980~90年代に用いられたが、当時としては先進的なことに、接続する機器に細かな設定を利用者が入力しなくても、アドレス(識別名)の取得や設定、他の機器の認識などを自動的に行う仕組みが整っていた。接続台数や規模が大きくなると性能が劣化する問題もあった。
AppleTalkは主にOSI参照モデルで言うデータリンク層からアプリケーション層までのプロトコルを定義していた。物理層の接続形態としては、初期にはRS-422規格のパラレルポートを用いる「LocalTalk」や、これをコネクタで電話線へ変換した「PhoneTalk」などが用いられた。
有線LAN方式としてイーサネット(Ethernet)が普及すると、これを接続回線に利用する「EtherTalk」が主流となった。電話回線やISDN回線を通じて遠隔のコンピュータやネットワークにダイヤルアップ接続(リモートアクセス)する「ARA」(Apple Remote Access)などの仕組みも提供された。
AppleTalkは1985年に登場し、Macintoshにおけるネットワーク機能の標準として広く普及した。1990年代後半になるとインターネットの普及とともにTCP/IP接続の必要性が高まり、当初は同じネットワークでTCP/IPとAppleTalkを別々に利用する(共存させる)手法が用いられたが、Apple社は徐々にMac OS/OS Xのネットワーク機能をTCP/IP経由で利用する方式に移行していき、2009年のMac OS X 10.6(Snow Leopard)でAppleTalkは完全に廃止された。