LPDDR4X【Low Power DDR4X】LPDDR4X SDRAM
概要

パソコンなどのメモリモジュールとマザーボードの接続・通信に関する規格は、業界団体のJEDECが策定する「DDR SDRAM」シリーズが広く用いられ、「LPDDR」シリーズはこの派生規格群である。通常のDDR規格が伝送能力を重視する一方で消費電力が大きいのに対し、LPDDR規格は動作電圧を引き下げた低消費電力の仕様で、バッテリー駆動が前提となる機器に適している。
LPDDR4Xの最大の変更点はメモリチップの駆動電圧(I/O電圧)で、LPDDR4の1.1Vから0.6Vへと引き下げられている。これにより、LPDDR4と比較してシステム全体の消費電力を10%から20%程度削減できるとされる。一方で内部コア電圧や基本的なデータ構造、コマンド体系などの主要な仕様はLPDDR4と共通しており、互換性を保ちながら省電力化を実現している。
転送のタイミングを同期するクロック周波数も向上しており、データ転送速度は最高で約4.267GT/s、すなわち毎秒約43億回の信号伝送が可能である。省電力性と高速性を両立したことで、バッテリー駆動時間の延長や、転送量が膨大な高精細な動画撮影の安定動作などにも寄与している。モバイル機器ではアプリの高機能化などでメインメモリの容量や転送能力の要求が高まる一方、連速稼働時間の向上も同時に進めなければならず、前世代の規格からLPDDR4Xへの移行が進んだ。
LPDDR4Xは2017年後半頃から多くのスマートフォンに採用され、その後はエントリークラスからミドルレンジの端末、薄型軽量のノートパソコン、車載インフォテインメントシステムなどへと採用例を広げた。2019年には後継規格の「LPDDR5」が、2021年には「LPDDR5X」が標準化されているが、LPDDR4Xは製造コストと性能のバランスに優れ、後継規格に基づく製品の発売後も多くの普及型製品に組み込まれた。