HTML Living Standard
概要
HTML Living Standardとは、業界団体のWHATWGが策定するHTMLの標準規格。2011年から継続的に仕様の追加・改訂が続いている。かつてのW3CによるHTML規格は廃止され、現在は唯一のHTML標準となっている。HTMLの構文や要素、属性などの基本的な仕様や、DOM(Document Object Model)などブラウザの実装に必要な仕様、Web WorkersやWeb StorageなどのAPI仕様、関連する技術仕様を定義している。WHATWGのWebサイトで公開されており、随時更新される。
歴史
Webページの記述に用いるマークアップ言語のHTML(Hypertext Markup Language)は、1989年に欧州原子核研究機構(CERN)のティム・バーナーズ=リー(Timothy J. Berners-Lee)氏によって構想され、翌1990年にこれを実装した最初のソフトウェアが開発された。
HTMLの最初の標準規格(バージョン1.0)は1993年にインターネット技術の標準化を進めるIETF(Internet Engineering Task Force)によって発行されたが、1994年に新たに設立されたW3C(World Wide Web Consortium)にCSSなど他のWeb技術と共に移管された。
1990年のHTML 4.01発行後、HTMLをXML化したXHTMLを提唱するなどW3Cが迷走していたため、2004年に主要なWebブラウザの開発元である米アップル(Apple)社、ノルウェーのオペラ・ソフトウェア(Opera Software)社、米モジラ財団(Mozilla Foundation)の開発者たちが業界団体「WHATWG」(Web Hypertext Application Technology Working Group)を旗揚げし、独自にHTML標準の策定を始めた。
2007年にはW3CとWHATWGが共同作業を開始したが、2011年にWHATWGが「HTML Living Standard」の名称で、常に改訂され続けるHTML標準を公開した。W3C側では2014年に「HTML5」を、2016年に「HTML5.1」、2017年に「HTML5.2」をそれぞれ発行したが、異なる標準が並立するのは有害であると判断し、2019年に既存のHTML標準を廃止して標準化をWHATWGに完全に移管することを発表した。