ハイパーテキスト 【hypertext】
概要
ハイパーテキスト(hypertext)とは、コンピュータを利用した文書作成・閲覧システムの一つで、文書内の任意の位置や要素に、他の文書への参照(所在情報や識別情報)を埋め込み、複数の文書を相互に結びつけたもの。そのような他の文書への参照情報を「ハイパーリンク」(hyperlink)あるいは単にリンクという。専用の表示ソフトウェアを用いて文書を開くと、文書内のリンクが設定された箇所を閲覧者の操作により選択することができ、参照先の文書を自動的に読み込んで表示することができる。ハイパーテキストを拡張し、文書に留まらず画像や図表、音声、動画、3次元グラフィックスなど様々な情報資源間で相互に関連付けや参照などが行えるようにしたものを「ハイパーメディア」(hypermedia)という。
ハイパーテキストシステムは電子辞書や百科事典ソフトのように一つのソフトウェアやコンピュータの内部で完結しているものと、通信ネットワークなどを介して複数のコンピュータに分散する文書データにまたがって構築されるものがある。その最も有名な応用例は、インターネット上に分散する膨大な文書群をハイパーリンクによって結んだ世界規模の開放型ハイパーテキストシステムである「Web」(ウェブ、WWW:World Wide Web)である。
ハイパーメディア (hypermedia)
米国の学者テッド・ネルソン(Theodor Holm Nelson)氏が著書「Computer Lib」において1974年に提言した情報表現方法で、文字情報主体のハイパーテキストを画像や音声などを含めたマルチメディアに拡張した概念。
ハイパーテキストは互いに関連する情報を含んだ文書同士を相互に関連付ける(リンクする)ことで、読者が関連する情報を次々に辿っていけるようにしたシステムだが、ハイパーメディアでは、文字情報に加えて画像、音声、動画などを含む様々な種類の情報を扱う機能を追加し、これらを相互に対応付けた情報の集合体を表現するシステムである。
「マルチメディア」という概念に近く、実際、マルチメディアシステムはハイパーメディア的な仕組みを内包している場合が多いが、ハイパーメディアという語は、メディアを複合するという意味よりも、文書や情報が相互に関連付けられアクセスが容易になっているという点に力点が置かれている。
発表された当時は、コンピュータで文字以外のメディアを扱うことは処理性能やデータ量の点から難しく、未来的な空想上の概念でしかなかったが、現在では、HTMLやHTTPなどの技術を組み合わせてWeb(WWW)として世界規模のハイパーメディアシステムが構築されている。また、企業の情報システムやパッケージメディアも、ハイパーメディアとして構成されることが当たり前になってきた。
関連用語
他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 内閣府 公文書等の適切な管理,保存及び利用に関する懇談会「中間段階における集中管理及び電子媒体による管理・移管・保存に関する報告書」(PDFファイル)にて引用 (2006年6月)