HTML5 【HyperText Markup Language 5】
概要
HTML5(HyperText Markup Language 5)とは、Webページの記述などに用いるマークアップ言語であるHTML(Hypertext Markup Language)の第5版。HTML4から仕様が大幅に刷新された。文書の論理構造を記述するHTMLの目的をより貫徹し、ナビゲーション要素を表すnavタグ、節を表すsectionタグ、前置き部分を表すheaderタグなど、文書の構造を表現する要素が追加された。
一方、fontタグやcenterタグ、bigタグなど、現在ではCSS(Cascading Style Sheets)で記述すべきとされる見た目を指定するタグの多くが廃止された。埋込みではないフレームを定義するタグ(frame、frameset、noframe)も廃止されている。
また、マルチメディア対応が強化され、音声を埋め込むaudioタグ、動画を埋め込むvideoタグ、任意のグラフィックスを描画できるcanvasタグなどが追加され、こうした要素の再生やアニメーションなどの制御に関するAPIなども整備されている。
Webアプリケーション対応
Webページをソフトウェアの表示・操作画面として利用するWebアプリケーションを開発する場合、従来はJavaアプレットやAdobe Flash、ActiveXコントロール、Microsoft Silverlightといった追加のソフトウェアを必要とする場面が多かった。
HTML5ではHTMLとJavaScript(ECMAScript)、CSSなど標準規格のみでこれらに劣らない高度なアプリケーションを開発することを目指し、スクリプトからページ内のHTML要素を参照するための標準オブジェクトモデル(DOM:Document Object Model)およびブラウザの機能を呼び出すための様々な標準インターフェース(API)が整備された。
これにはローカルファイルの読み込みや保存(File API)、ネットワーク上でのソケット通信(WebSocket)、ローカル環境へのデータ保存(Web Storage)、要素のドラッグ&ドロップ、簡易なデータベース機能(Indexed Database API)、GPSなどによる位置情報の取得(Geolocation API)などが含まれる。
歴史
Web技術の標準化を行うW3C(World Wide Web Consortium)によって2008年にドラフト(草案)が提起され、2014年に正式な規格として勧告された。2016年に一部の仕様を追加したHTML 5.1が、2017年にはHTML 5.2が発表されている。
仕様の多くは主要なWebブラウザ開発元などで構成される業界団体のWHATWG(Web Hypertext Application Technology Working Group)が取りまとめたもので、W3Cはほとんどの仕様についてこれを追認する一方、一部の仕様について両者の規格に僅かな差異が生じる形となっていた。
これを受けて両団体でHTMLの標準化プロセスについて議論が行われ、2019年からはWHATWGが随時更新していく「HTML Living Standard」をHTML標準と認め、W3Cが独自に規格を策定しないことなどが合意された。