Sender ID
概要
Sender IDとは、電子メールの送信元ドメインの詐称を検知する技術の一つ。「SPF」(Sender Policy Framework)と「Caller ID」の両技術の仕様を統合したものだが、SPFの方が普及したため標準化が断念された。基本的な仕組みはSPFと同様で、自らの保有するドメイン名を虚偽の送信元として使われるのを防ぎたい管理者は、DNS(Domain Name System)に「SPFレコード」を追加し、そのドメインを名乗るメールが発信される可能性がある正規のメールサーバのIPアドレスを広報する。
そのドメインからのメールを受信したサーバは、当該ドメインのSPFレコードを取り寄せ、メールの送信元のIPアドレスが含まれているかを検証することで、実際にそのドメインから発信されたのか、第三者が勝手にそのドメインを名乗っているのか確かめることができる。
SPFでは、サーバ間でメッセージを配送するSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)のMAIL FROMコマンドによって通知される差出人、いわゆるエンベロープFromを検証するが、Sender IDではこれ以外にメールヘッダに記載されたFromフィールド(From:)やSenderフィールド(Sender:)なども参照し、一定の規則で真の差出人アドレス(PRA:Purported Responsible Address)を割り出して検証する。
Sender IDの仕様はCaller IDを提唱した米マイクロソフト(Microsoft)社とSPFを提唱したPobox.com社を中心に取りまとめられ、2006年にIETFがRFC 4406として「実験的」(Experimental)のステータスで仕様が発行された。その後はSPFが普及しSender IDはあまり使われなかったため、正式な標準として策定することは断念された。
(2022.6.17更新)