多重継承 【multiple inheritance】
概要
多重継承(multiple inheritance)とは、オブジェクト指向プログラミングで、あるクラスを定義する際に複数のクラスから継承すること。複数の親クラス(スーパークラス/基底クラス)からそれぞれプロパティやメソッドを引き継ぐ。様々なクラスの機能や仕様を併せ持ったクラスを容易に作成できるが、親クラス間でメソッド名などが衝突した場合の対処や、親クラスの親クラス(祖父母クラス)が共通している場合にこれを複数回継承してしまう菱形継承(ダイアモンド継承)の問題があり、多重継承を採用するプログラミング言語はC++言語など少数に限られている。
Javaなどでは多重継承はできない代わりに、クラスが実装すべきメソッドの宣言だけが記述されたインターフェースを用いて複数のクラスの仕様を引き継ぐことができるようになっている。
仮想継承 (virtual inheritance)
C++言語の多重継承の一つで、親クラスの親クラスが複数回継承されてしまう場合に、これを一つの親クラスとして参照できるようにする方式を仮想継承(virtual inheritance)という。
多重継承によって複数の親クラスから派生したクラスを定義する際、親クラス同士が共通の親クラスから派生している場合がある。このような場合、単純な多重継承を行うとそれぞれが別のクラスとして認識され、個別に独立したメンバ変数を保持したり、メソッド名などが重複しているとみなされてしまう。
このような場合に、親クラスが祖父母クラスを “virtual” キーワードを追加して継承すると、祖父母クラスは仮想基本クラス(virtual base class)として扱われ、孫クラス上で一つのクラスとして扱われるようになる。
(2019.1.9更新)