PCIバス 【Peripheral Component Interconnect】 PCI bus

概要

PCIバス(Peripheral Component Interconnect)とは、コンピュータ内部で装置間を結ぶデータ伝送路(バス)の規格の一つで、主にCPU(マイクロプロセッサ)と周辺機器などを接続するためのもの。2000年前後にパソコン向けの拡張カード接続仕様の事実上の標準として普及していた。

初期の仕様はバス幅(一回の動作で伝送できるデータ長32ビット動作周波数33.33MHzメガヘルツ)で、データ伝送速度は133.33MB/sメガバイト毎秒)だった。後に66.67MHz駆動で266.67MB/sを伝送できる仕様や、バス幅64ビット(66.67MHz駆動で最高533.33MB/s)の拡張仕様が追加された。64ビットPCIの差込口(スロット)は32ビット版より端子数が増え長くなっているが、32ビットカードを差し込んで32ビットモードで通信できる上位互換となっている。

PCIバスで通信する拡張カードを「PCIカード」、これをコンピュータ内部の主基板(マザーボード)に差し込むための端子を「PCIスロット」という。最も普及していた時期の一般的なデスクトップ型タワー型コンピュータではPCIスロットが2基~6基程度搭載され、ビデオカードネットワークカードなどに利用された。

当初はカード側へ5V(ボルト)で給電する方式だったが、3.3V駆動の仕様が追加され、最後の規格であるPCI 3.0では逆に5Vの仕様が廃止された。誤差し込みによる破壊を防ぐため両方式はカードの切り欠きの位置が異なり、異なる電圧の端子へは差し込めないようになっている(両対応の製品もある)。

歴史

最初の規格は米インテルIntel)社によって1992年に発表されたが、以降は業界団体のPCI SIG(PCI Special Interest Group)が仕様策定と標準化を担当した。それまで業界標準だったが性能的に時代遅れとなっていたISAバスIndustrial Standard Architecture)を代替してパソコン向け拡張バス事実上の標準となり、1995年頃からいわゆるPC/AT互換機やNEC PC-9821シリーズなどに広く普及した。

1990年代後半にはISAバスとPCIバスの両方を備えたパソコン製品が多く見られたが、2000年前後にはPCIスロット数基+グラフィックカード専用のAGPスロットという構成が一般的となった。2003年には後継のPCI Expressが登場し、PCIとAGPを置き換えていった。2005年頃にはPCI Expressが優勢となり、PCIは過去の規格として互換性のために僅かに残されるのみとなった。

(2018.4.2更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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