オフロード 【offload】 オフローディング / offloading

概要

オフロード(offload)とは、(積荷を)降ろす、解放する、などの意味を持つ英単語。ITの分野では、あるシステムの負荷を他の機器などが肩代わりして軽減する仕組みを指す。

特に、ある特定のデータ処理に特化したハードウェアコンピュータに装着し、CPUの処理を肩代わりして負荷を軽減することで、システム全体の処理性能を向上させることをオフロードということが多い。

通信ネットワーク関連の定型的なデータ処理を、ネットワークカードNIC)などに内蔵されたICチップに肩代わりさせてCPU負荷を軽減する手法が一般的で、業務用のサーバコンピュータなどでよく利用される。

肩代わりする処理の種類に応じて、受信したデータが破損していないか検査する「チェックサムオフロード」や、TCPパケットの分割や組み立てをう「TCPセグメンテーションオフロード」(TSOTCP Segmentation Offload)、通信路の暗号化なう「IPsecオフロード」「SSLオフロード」などの種類がある。

ちなみに、一般の外来語としては自動車などの分野で舗装路外や悪路のことをオフロードというが、これは “offroad” の音写であり、“offload” とは綴りも発音も異なり繋がりはない。

データオフロード (Wi-Fiオフロード/トラフィックオフロード)

携帯電話データ通信量の増大により人口密集地などで発生する速度の低下や繋がりにくさを解消するため、データ通信を携帯電話網以外へ振り替えて負荷を分散することを「モバイルデータオフロード」あるいは単にデータオフロードという。

回線を増設すれば通信容量を増大できる有線通信と異なり、無線通信は一定の範囲内で利用できる周波数帯域に限りがあるため、加入者の増加や一人あたりの通信量の増大により、人の多い場所では通信容量が逼迫することがある。

このような事態を緩和・解消するため、必ずしも携帯電話網でなくても可能な通信需要(停止時のデータ通信など)を別の通信手段へ誘導することをデータオフロード、トラフィックオフロードなどという。

現在最もわれているのは無線LANスポットWi-Fiスポット)へ誘導する「Wi-Fiオフロード」で、通信事業者が設置した、加入者のみが利用できるWi-Fiアクセスポイントを市街地の店舗などで多数見ることができる。

また、家庭や事業所の屋内のみで通信可能なホームアンテナ(フェムトセル)を加入者に配布・販売する事業者もある。この場合、携帯電話通信はアンテナ設置場所まで引かれた固定回線光ファイバー回線など)に引き継がれ、屋外の通信事業者無線基地局の負荷が軽減される。

(2020.3.19更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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