HAクラスタ【High Availability cluster】高可用性クラスタ
概要

同じ役割を持つサーバを複数台組み合わせ、相互に状態を監視しながら動作させる。障害が発生した際には別のサーバへ処理を引き継ぐことで利用者への影響を最小限に抑える。この切り替えは「フェイルオーバー」(failover)と呼ばれ、専用のクラスタ管理ソフトウェアによって自動的に実行される。金融機関の勘定系システムや通信事業者の基幹設備、電子商取引サイトなど、継続稼働が強く求められる用途で採用されている。
構成方式は大きく二種類に分けられる。一つは稼働系と待機系の2系統を用意する「フェイルオーバークラスタ」(アクティブ/スタンバイ構成)で、稼働系に障害が発生すると管理ソフトウェアが自動的にそれを検知し、待機系へ処理を引き継ぐ。
もう一つは複数系統を同時に稼働させて処理を分散する「負荷分散クラスタ」(アクティブ/アクティブ構成)で、障害が生じた系統を切り離して残りの系統で処理を続行する。前者は待機系が通常時に処理に加わらないため稼働効率が低い半面、構成がシンプルである。後者は平常時から処理能力を有効に活用できる。
各サーバ間では、自分以外の稼働状況を確認するために「ハートビート」(heartbeat)と呼ばれる監視通信が短い周期で繰り返され、これが途絶えた時点でフェイルオーバーが発動する。ハートビート用のネットワークは業務系とは独立した経路に設けることが一般的で、ネットワーク障害による誤検知を防ぐよう設計される。また、切り替え後も同じサービスを継続できるよう、業務データは共有ストレージやデータ複製によって系統間で同期される。
近年では物理的なサーバ機器を並べるだけでなく、クラウドサービス上の仮想サーバやコンテナ技術を組み合わせたHAクラスタの構築も一般化している。データセンター自体を物理的に離れた複数の拠点に分散させ、大規模な自然災害が発生した場合でもサービスを維持できる地理的冗長性を備えたシステムも登場している。