Safari
概要
Safariとは、米アップル(Apple)社が開発・配布しているWebブラウザソフトウェア。同社のMac向けオペレーティングシステム(OS)のmacOSや、iPhoneやiPad向けのiOSにおける標準Webブラウザとして同梱されている。Apple社製品に出荷時から内蔵されている標準ブラウザであり、同社のAppleアカウントおよびクラウドサービスのiCloudを通じて、利用者が所有する複数の端末(MacとiPhoneなど機種が異なっていてもよい)間でアカウント情報やブックマーク、リーディングリスト、閲覧履歴などを共有・同期させることができる。
同社では利用者のプライバシー保護を重視しており、閲覧に用いた情報を端末に残さない「プライベートブラウズ」モードや、Webサイトをまたいだ利用者の行動追跡(トラッキング)を可能にするサードパーティCookieの受け取り拒否、中継サーバを利用して端末のIPアドレスをサイト側に非公開とする機能などを搭載している。
Webページの表示処理を行うレンダリングエンジンとして、オープンソースの「WebKit」を採用している。これは後に米グーグル(Google)社の「Google Chrome」にも採用されたが、両社の開発方針の相違により、Google社はWebKitから派生(フォーク)した独自の「Blink」に移行した。
歴史
2003年に初版が発表された。当時はまだiOS端末は無く、Mac上では米マイクロソフト(Microsoft)社の「Internet Explorer」のMac版や、「Netscape」および後継の「Mozilla」(現在のFirefoxの前身)が用いられていた。
Apple社は自前のブラウザ製品として、UNIX系OSで定評のある「Konquarer」に由来するWebKitを中核とするSafariを開発し、当時のMac OS X向けに配布した。ブラウザ製品ごとの実装の相違や独自拡張に開発者が頭を悩ませる中、Safariは標準仕様への準拠や軽快な動作で高い評価を得た。
2007年にiPhoneが、2010年にiPadが登場すると、初期から標準ブラウザとしてSafariのモバイル版が搭載された。iOS版はプラグインによる機能拡張ができなかったため、当時Web上で広く利用されていた「Adobe Flash」で制作されたコンテンツの再生ができなかった。急拡大するスマートフォン市場を主導するiPhoneの非対応によりFlashは衰退し、2020年に正式に終了した。