RCS 【Rich Communication Services】
概要
RCS(Rich Communication Services)とは、携帯電話(移動体通信)サービスの加入者間で文字や画像などのメッセージを交換するための標準規格の一つ。日本では携帯大手3社が「+メッセージ」の名称で展開している。携帯電話間で短い文字メッセージを送受信できるSMS(Short Messaging Service)、これを拡張して画像などに対応したMMS(Multimedia Messaging Service)に続くメッセージ交換方式で、文字によるチャットやファイル共有、メディアコンテンツの送受信などをリアルタイムに行うことができる。
携帯電話向けの規格であるため、SMSなどと同じで通信相手の指定は電話番号によって行う。RCS規格に対応していれば他の携帯電話事業者(キャリア)の加入者とも電話番号を指定してメッセージを交換できるが、各社のサービスには対応仕様の相違があるためすべての機能を利用できるとは限らない。
音声通話が主用途だった時代の携帯電話ではSMS/MMSが広く利用されていたが、スマートフォンの時代になりLINEやFacebook Messenger、WhatsAppなどインターネット経由で利用するインスタントメッセンジャー(メッセンジャーアプリ)がこれらの機能を置き換える形で普及した。RCSの仕様にはメッセンジャー由来の機能も多く含まれ、携帯キャリア側がこうしたサービスから利用者を取り戻す狙いもある。
最初の規格は2008年に “Rich Communication Suite” の名称で携帯電話技術の標準化団体の一つであるGSMアソシエーション(GSM Association)によって策定された。初期には規格の更新が速すぎて事業化が追いついていなかったため、2011年に「RCS-e」(-enhanced)として簡素化した仕様が発行された。このとき名称も “Rich Communication Services” に改められた。
日本ではNTTドコモ、au(KDDI/沖縄セルラー)、ソフトバンクの3大大手キャリアが共同で「+メッセージ」(プラスメッセージ)の名称でRCSを展開している。仕様は共通化されており互いの加入者間で相互接続が可能だが、外国の事業者との接続はできない。