文鎮化 【bricking】

概要

文鎮化(bricking)とは、スマートフォンなどの携帯端末が起動・操作できなくなり、完全に使用不能になることを指す俗語。英語では “brick” (れんが)という名詞を動詞のように用いて “bricking” (れんが化する)、“bricked” (れんが化した)のように表現する。

スマートフォンタブレット端末など携帯型の電子機器が起動しなくなったり、特定の状態で止まってしまい操作不可能になった状態を指す。「文鎮」とは書道で紙に乗せて押さえる重石(おもし)のことで、「文鎮くらいにしか使いようがない」、すなわち、本来の機能を完全に失っているという意味でこのように呼ばれる。

通常、ソフトウェアが操作不能になる状態は「フリーズ(する)」「ハングアップ(する)」などと呼ばれるが、これはオペレーティングシステム(OS)を再起動したり、ソフトウェアを導入(インストール)しなおすなどすれば正常な状態に戻ることが多い。一方、文鎮化は機器が完全に使用不能になり、何をやっても回復不能な状態を指す。

原因としては、ハードウェアの故障や欠陥の他、OSやファームウェアのアップデート失敗(更新中に電源が落ちるなど)、システムを破壊するコンピュータウイルスへの感染、開発元が禁じる非正規のシステム改変(ジェイルブレイクroot化など)が不首尾に終わった場合などがある。ハードウェアに由来するものを「ハードブリック」、ソフトウェアに由来するものを「ソフトブリック」と呼ぶことがある。

文鎮化した機器はリカバリーモードなどの機能でソフトウェアを初期化して再び使用可能になる場合がある(アプリやデータは失われることが多い)。また、販売店やメーカーのサポート窓口へ依頼して修理することで回復する場合もある。その際、非正規の改造を行っている場合は利用規約違反で対応を拒否されることがある。

(2023.8.31更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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