L4スイッチ【L4 switch】レイヤ4スイッチ
概要

ネットワーク層(第3層/L3)のIPアドレスの情報に基づいて転送を行う「L3スイッチ」の上位機種にあたり、IPの情報に加えて上位のTCPやUDPのヘッダに含まれるポート番号を識別して通信を制御する。これにより、同じIPアドレス宛ての通信であっても、Webやメールなどサービスの種類ごとに転送先のサーバを切り替えることができる。通信の状態を考慮する「ステートフル」な処理を行う構成が一般的で、接続の開始から終了までを同一サーバへ誘導する制御も可能である。
具体的には、WebサーバとDNSサーバが同一のIPアドレスを共有していても、宛先ポート番号が443番であればHTTPS、53番であればDNSの通信と判別し、それぞれ適切な転送先へ振り分けることができる。多くは専用ASICにより高速処理を行うため、データの中身まで解析する「L7スイッチ」に比べて処理が単純であり、大規模なトラフィック環境でも遅延を抑えた転送が可能である。
主な用途は、特定のサーバに通信が集中するのを防ぐ負荷分散(ロードバランシング)であり、複数のサーバへ効率よく通信を割り振ることでシステムの処理能力と可用性を高める。同一の利用者からの通信を継続的に同一サーバへ割り当てるセッション維持(スティッキーセッション)の制御や、冗長構成における切り替え、ヘルスチェックによる死活監視にも用いられる。キャッシュサーバへのトラフィックの誘導や、リアルタイム性が求められる通信を優先的に処理する帯域制御(QoS制御)などにも利用される。
L3スイッチは古くから存在するが、インターネットの普及期にWebサーバへのアクセス集中が課題となり、通信の目的(ポート番号)に応じた柔軟な中継を行うL4スイッチが登場・普及した。近年では専用のハードウェア機器としてだけでなく、クラウド基盤上で動作するソフトウェアや、SDN(Software-Defined Network)と組み合わせた仮想化されたロードバランサとしても利用され、コンテナ基盤やマイクロサービス構成のトラフィック制御にも適用されている。L4からL7の機能を包括した「アプリケーションデリバリコントローラ」(ADC)の一機能として組み込まれるケースも増えている。