ステートレス【stateless】
ステートレスとは?

ステートレス方式では、システムは過去の処理履歴や通信の進行状態などを内部状態として保持しない。そのため、各々の処理や通信は独立した単位として扱われ、毎回の入力内容だけで出力が決定される。このような設計のアプリケーションは「ステートレスアプリケーション」と呼ばれ、通信規約(プロトコル)の場合は「ステートレスプロトコル」と呼ばれる。
ステートレスな設計の利点の一つは、システムの拡張性や可用性を高めやすい点にある。サーバが個々のクライアントの状態を保持する必要がないため、複数のサーバに処理を分散させやすく、負荷分散(ロードバランシング)や台数を増やすことによる性能向上(スケールアウト)との相性がよい。特定のサーバが停止しても他のサーバが同じ処理を引き継ぎやすく、分散システムやクラウド環境での運用に適している。
代表的な例を挙げると、Web通信で用いられる「HTTP」は、それ自体はステートレスなプロトコルとして設計されており、各HTTPリクエストは独立した処理として扱われる。Web APIの有力な形式である「RESTful API」でもステートレス性が重視され、各リクエストは処理に必要なすべての情報を自己完結的に含むことが求められる。これにより、サーバ側のセッション管理の負荷を減らし、水平スケールを容易にする設計が実現される。
対義語は「ステートフル」(stateful)で、システムが内部状態を持ち、同じ入力であっても状態の違いによって異なる出力を返す方式を指す。例えば、ログイン済みかどうかという状態を保持するシステムはステートフルであり、同じリクエストでも認証状態によって返す内容が変わる。HTTPやWeb APIがステートレスであってもステートフルなWebアプリケーションが運用できるのは、Cookieやサーバ側のセッション管理システムなどの追加の要素によって状態管理が行われているからである。