ジッタ【jitter】
概要

デジタル通信では、送信側と受信側が一定のタイミングで信号のやり取りを行うことで情報を正確に伝達する。しかし現実のネットワーク環境では、パケットはネットワークの混雑や経路の違い、機器の処理遅延などの影響を受け、到着間隔が不規則になる。この到着タイミングのずれがジッタであり、ずれが大きくなるほどデータの損失や通信エラーを招きやすくなる。
ジッタの影響が顕著に現れるのは、リアルタイム性が求められる通信である。動画通話やオンライン会議、インターネット電話(VoIP)では、音声や映像のデータが一定のリズムで届かなければ、声の途切れや映像の乱れが発生する。オンラインゲームでも操作の反応が不規則にずれる原因となる。一方、ファイルのダウンロードのように到着順序を問わない通信では、ジッタの影響はほとんど問題にならない。
また、音響機器や映像機器においては、デジタル信号を変換する際の基準となるクロック信号の乱れもジッタと呼ばれる。このずれが生じると正確な変換が行えなくなり、音声機器では雑音や音質低下、映像機器では表示の乱れにつながる。電子回路でも、電圧変化のタイミングがわずかにずれるだけで誤動作の原因となるため、高速な伝送回路ではナノ秒、ピコ秒単位での管理が求められる。
ジッタへの対処として広く使われるのがバッファリングである。受信側でデータを一時的に蓄積し、到着のばらつきを吸収してから一定のペースで再生・処理する仕組みで、ジッタ対策として用意されたものは特に「ジッタバッファ」とも呼ばれる。バッファを大きくするほどばらつきへの耐性は高まるが、その分だけ遅延も増えるため、両者のバランスを取る設計が必要である。ネットワーク側の対策としては、音声・映像トラフィックを優先処理する「QoS」(Quality of Service)の導入や、ジッタが小さい傾向にある有線接続の活用が有効である。