読み方 : マルチプルブイラン

マルチプルVLAN【multiple VLAN】

概要

マルチプルVLANとはネットワークスイッチVLAN機能の一つで、ポートベースVLANを設定したネットワークにおいて、一つのポートを複数のVLANグループに同時に所属させる仕組み。
マルチプルVLANのイメージ画像

ポートベースVLANでは、スイッチの各ポートをグループに割り当て、同じグループに属するポート同士だけが通信できるよう分離する。通常、各ポートは一つのグループにのみ所属するため、異なるグループ間の通信は完全に遮断される。

この構成では、インターネット接続用のルータや共有サーバなど、全グループからアクセスが必要な機器を一つのポートに収容しようとすると、いずれか一つのVLANからしか接続できないという制約が生じる。

マルチプルVLANは、特定のポートを複数のグループに参加させることでこの制約を解消する。共有機器を接続したポートを全グループに所属させると、各グループからその機器への通信が可能になる。一方、グループを共有していないポート同士の通信は引き続き遮断されるため、VLANによるセグメント分離は維持される。

具体的な構成例として、一台のスイッチにルータ、社内サーバ、複数のパソコンが接続された環境がある。ルータと社内サーバをそれぞれ異なるVLANに所属させ、パソコンが接続されたポートを複数のグループに参加させると、パソコンからインターネットと社内サーバの双方へアクセスしつつ、ルータと社内サーバを互いに直接通信できない状態に保てる。

マルチプルVLANは安価なL2スイッチでも実装されることが多く、複雑なルーティング設定やVLAN間接続を指定できるL3スイッチを必要とせず、小規模なネットワーク環境でも簡単に安全なネットワーク分割を実現できる。ホテルの客室ネットワークや集合住宅の共有回線、企業のゲストネットワークなど、利用者同士の通信を遮断しながら共通の回線だけを共有する用途にも用いられる。

(2026.6.24更新)
 
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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