MSTP 【Multiple Spanning Tree Protocol】
概要
MSTP(Multiple Spanning Tree Protocol)とは、接続形態が同じVLANをまとめたグループごとに異なるスパニングツリーを形成することができる規格。IEEE 802.1Sとして標準化されており、各社が対応ネットワークスイッチを販売している。スパニングツリー(spanning tree)とは、3台以上のネットワークスイッチで構成されるLAN上で円環(ループ)状の経路が形成されフレームが循環し続けてしまうのを回避する制御方式である。スイッチ間で制御情報を伝送し合い、一部の経路を封鎖してネットワークを全体を木構造(ツリー)に再編する。
物理的なLANを論理的に複数のLANに分割するVLAN(Virtual LAN)を設定している場合、通常のスパニングツリーはすべてのフレームの送受信に適用されるため、VLANの構成によっては封鎖されたリンクを迂回することで遠回りを強いられることがある。
MSTPは接続形態が同じ複数のVLANを「インスタンス」と呼ばれるグループにまとめ、インスタンスごとにスパニングツリーを構成することができる。あるVLANでは封鎖されているリンクを別のVLANでは通過するといった運用にすることができ、フレームの伝送は効率的に行うことができる。
VLANごとにスパニングツリーを構成するのは「PVST」(Per-VLAN Spanning Tree)および「PVST+」でも可能だが、こちらは米シスコシステムズ(Cisco Systems)社独自の仕様で他社製品では利用できない。また、VLAN一つずつに対してスパニングツリーを構成するため、VLANが多くなるとスイッチの処理負荷が増大する。
(2023.6.9更新)