ISL 【Inter-Switch Link】
概要
ISL(Inter-Switch Link)とは、構内ネットワーク(LAN)の物理的な配線とは独立に機器をグループ化して仮想的なLANを構築するVLAN(Virtual LAN:仮想LAN)の規格の一つ。米シスコシステムズ(Cisco Systems)の独自仕様で、同社製品で利用できる。VLANはLAN内の機器を区画分けしてグループごとに分離する技術で、同じネットワークスイッチ(スイッチングハブ)に接続していても異なるグループの機器とは直接通信できないよう制限することができる。
ISLでは各VLANグループに固有の識別番号(VLAN ID)を割り当て、イーサネットフレームにIDを埋め込んで送受信することによりどのグループの通信かを識別する。複数のスイッチをまたいでネットワークが構成されていても、このVLAN IDを参照することで、そのフレームがどのVLANグループに属しているかがわかる。
ISLでは元のフレームの先頭にIDを含む26バイトの「ISLヘッダ」を、末尾に誤り訂正符号(CRC)を付加して新しいフレームを構成してスイッチ間で送受信する。元のフレームをISLの制御情報で包み込んでいるため「カプセル化VLAN」(VLAN encupsulation)と呼ばれることもある。
カプセル化は複数のVLANが合流するトランクリンク(スイッチ間接続など)で用いられ、トランクリンクを出るときにISLヘッダとCRCは取り除かれて元のフレームが取り出される。末端の機器は通常の形式のイーサネットフレームを送受信するだけとなる。
IEEEでもタグVLANの標準化を行っており、IEEE 802.1Qという規格を策定している。イーサネットフレームを拡張してVLAN IDを埋め込む方式で、異なるメーカーの機器が混在するネットワークでも用いることができる。
(2022.1.26更新)