LPDDR5X【Low Power DDR5X】LPDDR5X SDRAM
概要

パソコンなどのコンピュータのメインメモリ(RAM)には、JEDECが策定する「DDR SDRAM」(Double Data Rate SDRAM)シリーズが広く採用されている。「LPDDR」(Low Power DDR)シリーズはその携帯機器向け派生規格で、通常のDDR規格より動作電圧を下げ、消費電力を抑えた設計となっている。
LPDDR系DRAMはスマートフォンやタブレット端末のほか、近年では薄型ノートパソコンにも広く採用されており、通常のDDR系DRAM製品がメモリモジュールとして着脱可能な形で利用されることが多いのに対し、LPDDRは機器の基板上に直接実装されることが多い。
LPDDR5XはLPDDR5と基本構造を共有しつつ、信号伝送のタイミングを同期するクロック周波数を引き上げ(メモリクロック533MHz/バスクロック4.267GHz)、信号品質を安定させるための制御方式を改善している。最大伝送速度はLPDDR5の6.4GT/sから8.533GT/sへと大幅に高速化され、メーカーによっては独自にこれを超える伝送速度を達成している。
動作電圧はLPDDR5と同様の1.05Vを維持しており、データ通信の負荷に応じて電力を細かく制御する省電力機能も継承されている。メモリ帯域幅の拡大により、CPUやGPU、AI処理回路などがより多くのデータを短時間で読み書きできるようになるため、高解像度動画の処理や画像認識、機械学習といった用途での性能向上が見込める。
採用先は高性能スマートフォンやタブレット端末、ノートパソコン向けのSoC(System on a Chip)が中心だが、自動運転システムや携帯ゲーム機など、省電力性と高性能の両立が求められる様々な機器への展開も進んでいる。生成AIや高度な画像処理機能を搭載する端末の増加を背景に、高速な低消費電力メモリへの需要は拡大しており、2025年には後継規格の「LPDDR6」が策定されている。