ワードラップ【word wrap】
概要

欧文では単語と単語の間をスペースで区切る「分かち書き」が基本であり、単語の綴りの途中で改行を挟むことは原則として許されない。途中で分割すると別の単語として解釈されてしまうためである。日本語のように文字単位でどこでも改行できる言語とは異なり、欧文では単語単位での改行位置の制御が不可欠となる。
行末付近で全体が収まりきらない単語が生じた場合、その直前のスペース位置で改行し、単語全体を次行へ送るのがワードラップ処理である。これは表示上の折り返しとして扱われ、文書中に改行コードを明示的に挿入する操作とは区別される。現代のWebブラウザやコードエディタなど、文字列を扱うほぼすべてのソフトウェアに標準的に組み込まれており、画面幅が狭いスマートフォン環境では特に重要な処理となる。
ワードラップを適用すると各行の末尾の文字位置が不揃いになるため、行内の単語間の空白の幅を調整して行末が縦方向に揃うようにする「両端揃え」(justification/ジャスティフィケーション)と組み合わせて使われることが多い。欧文組版では標準的な体裁として広く採用されている。
行末の単語を処理する別の方法として「ハイフネーション」(hyphenation)がある。単語を音節の区切りで分割し、行末にハイフン(-)を付して次行へ続くことを示す処理で、ワードラップよりも行末を均等に整えやすい。ただし、単語ごとに決まっている音節の情報が必要なため、辞書データや言語処理の仕組みが別途必要となる。
ワードラップとハイフネーションは排他的な関係ではなく、両方を組み合わせたり切り替えたりできるソフトウェアも多い。Webページの見栄えを記述するCSSでは「word-breakプロパティ」や「overflow-wrapプロパティ」の指定でワードラップの挙動を制御でき、「hyphens」指定で自動ハイフネーションを有効にすることもできる。