IEEE 1284

概要

IEEE 1284とは、IEEEが1994年に策定した、コンピュータ本体と周辺機器などを接続するためのパラレル通信方式およびパラレルポート(プリンタポート)の標準規格。同規格の一部であるコネクタ形状やケーブルの仕様を指すこともある。

複数の信号線を用いて並列に信号を伝送するパラレルインターフェースの規格で、米セントロニクス(Centronics Data Computer)社が開発し、1980年代に業界標準として普及していた「セントロニクス仕様」が元になっている。

当時、各社によって独自に定められていたセントロニクス仕様の拡張仕様のいくつかを取り込んだため、動作モードおよび通信プロトコルが5つ規定された複雑な規格になっている。2mまでの距離を2MB/s程度の速度で通信でき、大量のデータを転送するプリンタなどの接続に用いられた。

セントロニクス仕様とほぼ同じ「SPP」(Standard Parallel Port)あるいは「コンパチブルモード」(compatible mode)、米ヒューレット・パッカード(Hewlett-Packard)社(当時)の「Bitronics」(バイトロニクス)仕様を元にした「ニブルモード」(nibble mode)の2つは対応が必須となっている。残りの3つ、バイトモード、EPP、ECPはオプションとなっている。

コネクタ形状はコンピュータ側の接続に用いる25ピンの「Type A」(DB-25)、プリンタなど周辺機器側の接続に用いる36ピンの「Type B」(セントロニクス仕様と同じもの)、Type Bを小型化した36ピンの「Type C」の3種類が規定されている。一般にパラレルポート/ケーブルと言えばType A/Bであり、後発のType Cはあまり普及しなかった。

ECP (Extended Capabilities Port)

オプション仕様の一つで、最大2MB/sまでの高速なデータ転送や双方向通信RLERun Length Encodingランレングス圧縮)によるデータ圧縮などに対応したもの。米マイクロソフトMicrosoft)社やHewlett-Packard社などが開発・提唱した方式。

EPP (Enhanced Parallel Port)

オプション仕様の一つで、最大8MB/sまでの高速なデータ転送や双方向通信、最大7台までの機器を数珠繋ぎデイジーチェーン)に接続する仕様などに対応したもの。米インテルIntel)社や米サーコム(Xircom)社(当時)などが開発・提唱した方式。

(2023.9.9更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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