クロスバースイッチ 【cross bar switch】 クロスバスイッチ
概要
クロスバースイッチ(cross bar switch)とは、多数の装置や回線を相互に接続する中継装置の仕組みの一つ。各要素に繋がる信号線を格子状に並べ、交差する場所に開閉可能なスイッチを配置したもの。要素A1~AnとB1~Bnを任意の組み合わせで接続できるクロスバースイッチを考える。A群の信号線をA1、A2…と等間隔で縦方向に並行に並べ、B群はこれと交差するようにB1、B2…と横方向に並べる。
すると、A1の信号線はまずB1の信号線と交差し、その後B2からBnまですべてのB群の要素の信号線と交差する。A2以降も同様で、A群とB群は互いに相手方のすべての要素の信号線と交点を持つ。
この交点にスイッチを設けて開閉することにより、A群とB群の任意の要素の組み合わせについて一時的な専用の通信路を形成することができるという仕組みである。縦も横もA群の信号線とすることで、A群内の要素を互いに接続する伝送路を構成することもできる(その場合A1-A1のような自身との交点にはスイッチを置かないか使わない)。
すべての要素間に専用の伝送路を用意しようとすると配線の数が組み合わせ爆発を起こしてしまい要素数が多い場合に非現実的となるが、クロスバースイッチでは配線の数は要素の数だけで済むため、多数の要素を相互接続するのに適している。また、複数の要素の信号が相乗りするバス型の伝送路に比べ、一時的とはいえ伝送路を専有できるため通信効率が高い。
20世紀初頭に電話網の回線交換を自動化するために考案された方式で、1926年に初のクロスバー交換機が実用化された。コンピュータの信号伝送路にも応用され、複数のCPUを内蔵したマルチプロセッサ型コンピュータにおけるプロセッサ間の通信や、半導体チップ内部のデータ伝送路などにクロスバースイッチ型の機構が採用されたことがある。
(2022.7.4更新)