トップレベルドメイン 【TLD】 Top Level Domain / 第1レベルドメイン

概要

トップレベルドメイン(TLD)とは、インターネットドメイン名を構成する要素のうち、「.」(ピリオド、ドット)で区切られた最も右にある要素のこと。最も上位の階層における識別名を表しており、「www.example.com」の「com」の部分がこれにあたる。

ドメイン名は実世界の住所のように階層構造になっており、各階層の識別名を「.」で区切って並べて表記する。並び順は末尾(右)が最上位で先頭(左)が最下位であり、末尾の識別名のことをトップレベルドメインという。

トップレベルドメインは大きく分けて、用途や組織種別などに応じて設置された「gTLD」(generic TLD:汎用TLD)と、国・地域ごとに割り当てられた「ccTLD」(country code TLD:国コードTLD)、歴史的経緯で残っている特殊なTLDに分類される。

汎用トップレベルドメイン (gTLD)

地理的な制約なく世界中から登録できるトップレベルドメインをgTLDという。多くは用途や分野を意味する識別子となっており、利用目的や組織種別に制約があるものと制限が無いものに分かれる。

インターネットの初期から存在するgTLDとして、商用(commercial)を意味する「.com」、ネットワーク事業者(network)を意味する「.net」、団体・組織(organization)を意味する「.org」の3つがよく知られる。これらは登録資格などを厳しく問わないため本来の意味とは異なる使われ方をしているものもある。

特殊なgTLD

初期から存在するgTLDの中には、用途が制限され広く一般からの登録を受け付けていない特殊なTLDが含まれている。米連邦政府機関向けの「.gov」、米国内の高等教育機関向けの「.edu」、米軍向けの「.mil」、国際機関向けの「.int」、北大西洋条約機構(NATO)関連機関の「.nato」(後に.nato.intへ移行し廃止)である。

新gTLD

2000年以降に追加された新しいgTLDを新gTLDと呼ぶことがある。2011年までは追加数が厳しく絞り込まれていたため、2000年に「.biz」「.info」「.name」「.pro」「.museum」「.aero」「.coop」、2005年に「.jobs」「.travel」「.mobi」「.cat」、2006年に「.tel」「.asia」、2009年に「.post」、2011年に「.xxx」の計15が追加されたのみであった。

2012年に制度が変更され、所定の要件を満たせば原則として自由にトップレベルドメインを追加できるようになった。現在までに1200以上のgTLDが新たに登録され、利用されている。この中には「.google」「.canon」のように企業が自社のブランドやサービスなどのために登録する例や、「.tokyo」などの都市名や地域名、「.free」「.shop」のような一般的な語句、「.みんな」のように多言語ドメイン名の仕組みを利用した非アルファベット文字のgTLDなどが含まれる。

国別トップレベルドメイン (ccTLD)

ccTLDは世界の国・地域それぞれに割り当てられたもので、日本を表す「.jp」のように2文字の国コード(country code)で表される。

原則として国コードの国際標準規格であるISO 3166の2文字コードに基づいているが、イギリス本国がISO 3166の「GB」ではなく「.uk」になっているなどの例外もある。欧米諸国の海外領土などにはそれぞれ本国とは別のccTLDが与えられており、世界で約250個が存在する。EU加盟国では自国ドメインの他に一定の要件のもと「.euドメインも使用できる。

多くの国では自国内の個人や組織などに限って登録を受け付けているが、外貨獲得などのため世界中から登録を受け付けてgTLDのように運用している場合もある。偶然英単語などに一致していたり覚えやすい並びになっているドメイン名に見られ、「.tv」(ツバル)、「.to」(トンガ)、「.in」(インド)などの例がよく知られる。

.arpaドメイン

メールアドレスやWebサイトなどの識別名としては用いられず、ネットワーク管理用に用いられている特殊なTLDとして「.arpaドメインがある。

もとはインターネットの前身のARPANETを主催していたARPA(米高等研究計画局、現在のDARPA)を表すドメインだったが、現在ではシステムが内部的に使用する特殊な名前空間として存続している。IPアドレスIPv4アドレス)からドメイン名を「逆引き」するための領域である「in-addr.arpa」が有名だが、他にIPv6アドレスからの逆引き用「.ip6.arpa」、電話番号とURIを対応付ける「e164.arpa」が用意されている。

(2021.4.8更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

試験出題履歴

ITパスポート試験 : 平27春 問60
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。