コンカレントエンジニアリング【concurrent engineering】CE

概要

コンカレントエンジニアリングとは製品開発を構成する複数の工程を同時並行で進め、部門間の情報共有と連携によって開発期間の短縮やコスト削減、品質向上を図る手法。主に製造業における製品開発の現場で用いられ、設計、試作、調達、生産などの各工程を担当する部門が高度に連携して業務を進める。
コンカレントエンジニアリングのイメージ画像

従来の開発手法では、企画、設計、試作、調達、生産準備といった工程が順番に進められ、前工程の完了後に次の工程へ引き継ぐ逐次的な進め方が一般的であった。この方式では、後工程で問題が発覚すると前工程への手戻りが生じ、開発期間の長期化やコスト増加を招きやすい。コンカレントエンジニアリングでは、各部門が早い段階から連携し、前工程の完了を待たずに後続工程の準備や検討を進めることで、全体のリードタイムを短縮する。

後工程の知見を前工程にフィードバックすることも重要な要素である。例えば、量産段階で不良品が生じにくい構造を設計段階から反映させる、調達コストを考慮した部品選定を設計者と購買部門が協議して行うといった取り組みがこれに当たる。各工程を個別に最適化するのではなく、開発全体を通じたコストや品質の最適化を目指す。

適用範囲は文脈によって異なる。狭義には設計から生産にいたる技術部門間の連携を指すが、広義には企画・マーケティングから開発・製造・販売・サポート・廃棄やリサイクルまで、製品ライフサイクル全般にわたる部門横断的な活動を含む場合もある。

この手法を実現するには部門間での迅速な情報共有が不可欠であり、製品情報を一元管理する「PDM」(Product Data Management)や「PLM」(Product Lifecycle Management)などのシステムが活用されることが多い。CADシミュレーション技術の発達により、試作前の段階で設計内容を評価しやすくなったこともこうした手法の普及を後押ししている。

もともとは1980年代後半に米国の国防分析研究所(IDA:Institute for Defense Analyses)が提唱した手法で、日本の自動車産業などが実践していた効率的な開発体制をモデルに体系化された。自動車、航空宇宙、電子機器など開発工程が複雑な産業を中心に採用が広まり、コンピュータネットワークや設計支援ツールの発展とともに世界中の製造業へ普及した。近年ではデジタル技術を活用した開発環境の整備が進み、企業間を含めた情報共有や協調作業の枠組みとしても用いられている。

(2026.6.10更新)
 

他の辞典等による「コンカレントエンジニアリング」の解説 (外部サイト)

資格試験などの「コンカレントエンジニアリング」の出題履歴

▼ ITパスポート試験
令8】 コンカレントエンジニアリングを採用する目的として,最も適切なものはどれか。
令4】 コンカレントエンジニアリングを適用した後の業務の流れを表した図として、最も適したものはどれか。ここで、図の中の矢印は業務の流れを示し、その上に各作業名を記述する。
平29秋】 コンカレントエンジニアリングの説明として、適切なものはどれか。
平27春】 製造業のA社は、製品開発のリードタイムを短縮するために、工程間で設計情報を共有し、前工程が完了しないうちに、着手可能なものから後工程の作業を始めることにし。た。
平26春】 コンカレントエンジニアリングの目的として、適切なものはどれか。
平24秋】 コンカレントエンジニアリングの目的として、適切なものはどれか。
平24春】 製品開発のライフサイクルにおいて、技術開発や製品の機能設計、ハードウェア設計、試作、製造準備といった作業工程のうち、同時にできる作業は並行して進め、手戻りや待ちをなくして製品開発期間を短縮する手法はどれか。
▼ 基本情報技術者試験
令7修12/令6修12/平26秋】 コンカレントエンジニアリングの説明として,適切なものはどれか。
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。