インテグラル型 【integral architecture】 擦り合わせ型 / インテグラルアーキテクチャ
概要
インテグラル型(integral architecture)とは、工業製品やシステムの構造・設計の分類の一つで、構成要素が相互に密接に関連していて、一部分の変更が他の箇所に与える影響が大きいもの。インテグラル型の製品の内部は、一つの機能を複数の要素にまたがって実装していたり、他の要素の形状や配置、機能などが特定の状態にあることを前提としていたりと、相互に強く依存しあっている。
このため、細部を作り込んで極限まで性能や効率、小型化などを推進したい場合や、従来にない独創的な製品を生み出すには適した設計方式だが、一部分だけ別の要素に置き換えるといった変更が難しく、部品や部材の多くが専用品となるため、設計・生産のコストは高くなりがちである。
また、市場規模の大きな工業製品がインテグラル型の場合、最終製品やそのメーカーごとに部品の仕様などが大きく異なるため、完成品メーカーによる部品や生産機械の内製化や、部品メーカーの囲い込みや企業グループ化(系列化)などが進みやすい。
一方、標準化された要素を組み合わせて最終製品を製造できるような構造・設計のことを「モジュラー型」(modular architecture)あるいは「組み合わせ型」という。インテグラル型の有名な事例としては自動車産業が、モジュラー型の事例としてはパソコン産業がよく挙げられる。
(2020.3.16更新)