エクスプロイト 【exploit】

概要

エクスプロイト(exploit)とは、偉業、快挙、功績、利用する、悪用する、などの意味を持つ英単語。ITの分野では、ソフトウェアなどの保安上の弱点(脆弱性)を突いて何らかの有害な動作をプログラム(エクスプロイトコード)や、そのようなプログラムによる不正アクセスなどの攻撃を指す。

機器やソフトウェアシステムには潜在的なセキュリティ上の欠陥が存在する場合があり、エクスプロイトはこれを悪用して開発元や利用者が意図しない有害な事象を引き起こすことができるようにする。

例えば、システムの動作を阻害して機能不全や停止に追い込んだり、保管されたデータプログラムを不正に取得・書き換え・消去したり、不正にプログラム実行システムの操作をったりできるようにする。

エクスプロイトは攻撃者が直接操作して攻撃を実行するよう設計されることが多く、自己増殖や自動起動、他のデータプログラムへの寄生など自律的な動作のための機能を持たないため、コンピュータウイルスなど他のマルウェアとは区別される。

発見された脆弱性を利用した攻撃手法の概念実証POCProof Of Concept)や、脆弱性の検査のために開発されることもあり、そのような場合には自身は有害な振る舞いはわないこともある(ただし、DoS攻撃の実証コードの場合は原理上対象を停止に追い込まざるを得ない)。

通信回線ネットワークを通じて遠隔のシステムを攻撃対象とする場合、プログラムが攻撃者のコンピュータ実行されるものを「リモートエクスプロイト」(remote exploit)、攻撃対象の内部で実行される(よう仕向ける)ものを「ローカルエクスプロイト」(local exploit)という。

“exploit” の原義は「偉業」「快挙」などであり、有害な事象を引き起こすプログラムをそのように称するのは奇異に感じられるが、もともと攻撃側の開発者たちが「脆弱性を突いてセキュリティを無効化することに成功した」ことを「偉業」と称えた仲間内の隠語(ジャーゴン)だったものがそのまま一般に広まったと言われている。

(2019.12.5更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
ホーム画面への追加方法
1.ブラウザの 共有ボタンのアイコン 共有ボタンをタップ
2.メニューの「ホーム画面に追加」をタップ
閉じる