死の谷

概要

死の谷とは、企業における技術経営(MOT)上の概念の一つで、新技術の製品開発から事業化に繋げる困難さのこと。出川通氏が2004年の著書「技術経営の考え方 ~MOT開発ベンチャーの現場から」で提唱した。

企業の新技術応用における開発段階と事業化段階を分かつ障壁で、製品開発から実際に製品発売やサービス開始に漕ぎ着けるまでの困難さを表している。製品であれば調達や生産、流通の手配を整えなければならず、巨額の資金が必要となる。失敗したときの痛手の大きさを深い谷になぞらえている。

氏は企業が新たな技術を研究し、産業として成立させるまでの過程を「研究」「開発」「事業化」「産業化」の4段階に分けて分析した。死の谷の前段階で、研究から開発に繋げる困難さを「魔の川」、後段階で、製品の市場投入から産業としての確立に繋げる困難さを「ダーウィンの海」と呼んでいる。

(2025.1.15更新)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。