セル生産方式 【cell production system】
概要
セル生産方式(cell production system)とは、工業製品の組立工程の一種で、同じ作業者(一人またはチーム)が一か所ですべての作業を行なって製品を完成させる方式。ベルトコンベアーなどで製品を移動させ、作業ごとに異なる作業者が分業するライン生産方式と対比される。作業者ごとに異なる製品を担当させることができるため多品種少量生産に向いており、部品や仕掛品の在庫も少ない状態で生産することができる。誰が作った製品がはっきりしているため作業者のモチベーションや責任感を向上させやすいともされる。
ライン生産では生産量が少なくても全工程用のスペースと作業者を揃えなければならず、ライン全体の生産品目の切り替え労力も大きいが、セル生産では作業者の数を増減させることで生産量の変動に柔軟に対応でき、空いたスペースを他の製品用に転換することもできる。
一方、一人の作業者が覚えるべき内容が多いため、教育・訓練に時間とコストがかかり、作業者による製造効率や品質のバラつきも大きくなりがちである。また、工程の一部に高価な機械や調整が難しい機械が必要な場合、作業者の人数分だけ購入・維持しなければならないため負担が大きくなる。
家電や情報機器、大型機械の部品など比較的小さな製品では、部品や工具などを組み付けた、作業者をU字型に囲む屋台のような作業台が用いられるため「屋台生産方式」などと呼ばれることもある。
(2020.4.18更新)